バイロイト祝祭劇場の全景

格式高く良く整備されている祝祭劇場。周辺は緑も豊かで広々とした公園にもなっており、バイロイト市街の少し小高い丘の上に鎮座し、ここはバイロイト市民の憩いの場にもなっています。世界中のワグネリアンがこの時期に集う、ワーグナーの聖地です。
ザルツブルク音楽祭・ヴェローナ音楽祭を聴いた十数年前以来の夢だったドイツ・バイロイト祝祭劇場でのワーグナー楽劇を2024/7/25〜8/2で8公演(5作品)鑑賞して来ました。初めてのバイロイト祝祭(音楽祭)で初日(プルミエ)チケットも幸運なことにゲットでき、初日独特のゴージャスな雰囲気も含め、熱狂的なワグネリアンが集まる祝祭の興奮醒めやらぬ雰囲気で合計約30時間の公演(休憩除き)を10泊8夜で鑑賞(1日は観光地へお出掛け)。
ワーグナーが自分の作品上演の為だけに建設した最高の音響と舞台の殿堂で、本当に音響が良く、オーケストラと歌手の歌がクリアでかつミックスされて聴え、楽しい演出にも引き込まれ、一公演4-5時間の長時間の楽劇も集中して鑑賞できました!
終演後の割れんばかりの拍手やブラボーとブーイングの渦にも巻き込まれ、とても興奮して私も思わずブラボーと何度も叫んでしまいました!
以下、バイロイト祝祭に関する写真とコメントです
バイロイト祝祭劇場を背景にさっそく記念写真!

だいぶ無理してタキシード姿で登場してま〜す♪
初日(プルミエ)では最低でもタキシードで、と言われて、日本でレンタルし持参しました。不慣れではありますがそれなりの格好になり、VIPや名士・貴族の方々に紛れても違和感ない(カナ?) …少なくとも七五三と言われないように…
ホテルでお知り合いになり、今回大変お世話になったGさんに撮っていただきました〜!
初日(プルミエ)のレッドカーペット

7/25はバイロイト祝祭の初日プルミエで、ヨーロッパのVIPの紳士淑女が登場し、レッドカーペットを歩くのを報道陣が撮影したりインタビューしてます。ゴージャスな雰囲気です。今年はメリケル前首相はお出ましがなかった…
祝祭劇場バルコニーで祝祭開始のファンファーレ♪

祝祭開始の合図となるファンファーレ!各作品・各幕毎に開始の合図として主要テーマの短い演奏がTp、Tbの8本で演奏されます♪これも楽しみ! ※ファンファーレの音楽は、別画面で動画をご覧ください。
私もレッドカーペット的に記念写真!

私もレッドカーペット的に、自撮りで記念写真。バックのご令嬢と紳士が美しい!
合図のファンファーレ後、劇場エントランスへ

ファンファーレが鳴ると、会場へ向かう。席の列によって入り口が異なる。 先ず、建物の入り口で、チケットとパスポートで本人確認をされ、さらに席に入る所で再度チケットをチェックされる。大きい荷物は持ち込み禁止。
豪華絢爛な祝祭劇場の内部

バイロイト祝祭劇場内の雰囲気は、豪華な雰囲気。だけど、席がギチギチでギューギュー詰めで、空調もないので観客の熱気で暑い!椅子も硬いし布が少し敷いてある感じの質素なもので、これもワーグナーの観客を眠らせない仕掛けだとか。個人で携帯クッションを持ち込みましたが先着順でレンタルもしている。 お尻が痛い。でも、ワクワクが止まらな〜い!
祝祭劇場は舞台に向けてすり鉢状で結構な急勾配

劇場内へ入る入り口から見ると座席は急勾配であるのが分かります。平土間の椅子はシンプルで、板張りに薄い布が貼ってあるだけの質素なものです。
左右両端からしか入れず中央寄りの観客から詰めて座りますが、前後が狭いので後から入って来る人のために立ったまま待ちます。
あと、この床は木製で創設時のまま150年の歴史があり、この座席の下が空洞で音響が拡がるようになっていて、オーケストラの低音や、ブラボーの足踏みで会場全体がウァ〜んと唸り響き渡ります!これがバイロイト祝祭劇場の音響の魅力となっています♪
(残念ながら、これらの音響や倍音の響きは、この現場に来て生で聴かないと感じられません。高性能オーディオでも再現は無理)
特徴的なオーケストラボックス

写真の右側が舞台、左側が観客席、中央の囲われているオーケストラボックスは、床や舞台よりかなり深い位置にあって舞台の下まで広がっている。客席から見えないので舞台に集中できる仕掛けで、さらに音響が一旦舞台側に反響して歌手の歌とミックスされて客席に届くので、凄い良い響きになる!また、各楽器群の配置にも特色があり、左右の第一第二ヴァイオリンのステレオ効果など、ワーグナーの作品はそれを意識して作曲されている。オーディオでは絶対再現できない劇場です。
ワーグナーがこだわって設計・建設したもので、素晴らしい。
初日トリスタン・自席で自撮り

緊張の中、座席についた自分を自撮り。ホントは撮影禁止だけど上演前と後は容認されている。紳士淑女に囲まれて少々恐縮してしまう。初日だし、初体験だし…
ボックス席で記念撮影

この席は、なかなかチケットが取れないボックス(Loge)席で、貴族たちになった気分・雰囲気で舞台を楽しめます。加えてフカフカの椅子で疲れません。意外にも音響はとても良く、歌手もオケも凄くよく聴こえる。床や会場全体から凄い音響を感じます♪
2日目タンホイザー:Mittelloge rechtsと、3日目パルシファル:Loge linksはボックス席がゲットできました!この記念写真は、ドイツの貴族?の方に写真を撮ってもらう。もちろんお返しにそのドイツ人夫婦も撮ってあげました!
ボックス席の座席と自撮り

ロッジ席の椅子はフカフカです!VIPな貴族気分でゆったり鑑賞できます!
パルシファルのボックス席1列目はARゴーグル付き!

バイロイトは常に新しい試みをしており、先端技術も取り入れています。パルシファルではARゴーグルを装着し、舞台と仮想現実のミックスを楽しめるようになっていました。有料・要予約。
ボックス席の様子と自撮り

ボックス席で自撮り。後ろの人々はどこの貴族?さすがにボックス席の方々は皆さん正装しててお洒落です(…が、暑いので開演直前には上着を脱ぐ人が多い)。でも蝶ネクタイだけはしたままですよ。
祝祭劇場の舞台・カーテンコール「パルシファル」

終演後のカーテンコール!素晴らしい演奏・演出でした。これはパルシファル。
満席状態で、観客は熱狂的な拍手とブラボーが飛び交います(カーテンコールはスマホ撮影も容認してる)。
パルシファルは、神聖な中、明るくクラシカルな演出でとても良い(クンドリは死なない)。
慣例により、1幕は暗転したのち明るくなっても拍手せず静かに休憩に入るところだが、盛大な拍手に見舞われちゃったぁ…。私も暫くじっとしていましたが、思わず拍手しちゃった。隣のベテランそうな女性は怒ってましたぁ〜!
それにしても皆さん、全てで拍手が早すぎる。さすがにフライング拍手やフライングブラボーはないけど、せめて数秒余韻を楽しませてくれ〜。聴衆の質が落ちてるのかな?
祝祭劇場の舞台・カーテンコール「トリスタン」

これはトリスタンとイゾルデのカーテンコールです。初日プルミエは、新演出の初日と言うこともあり、最高の雰囲気と演者の熱量を感じる素晴らしい演奏でした♪
このトリスタンは、今回が新作演出で初日です。演出家に対しては、大ブーイングと、反対にブラボーが入り混じり大絶叫の会場です!
私は、今回クラシカルな演出で好きでしたが、古風な演出が好きなワグネリアンやオリジナル解釈を求める方々からは凄いブーイングの嵐!(演出家に対してのみ)
トリスタンは決闘で死ぬのではなく、イゾルデの毒薬を自ら飲み、イゾルデはその残りを飲んで死ぬ、1幕で媚薬は両名とも飲まないと言う演出。いいと思うけど…
祝祭劇場の舞台・カーテンコール「ラインの黄金」

ラインゴールドの演出・解釈は賛否ありそうだなぁ〜と感じました。グラモフォンのサブスク「STAGE+」で予習しておいたからか何となく意図は分かりましたが、北欧神話とのギャップは難しそう…。でも面白かった(ドイツ語の歌詞は分からんけど…)。
祝祭劇場の舞台・カーテンコール「神々の黄昏」

これは最終日、ニーベルングの指環の4日目、第三夜「神々の黄昏」のカーテンコール!面白くて演奏も歌も素晴らしかった♪ それに、やっぱ曲がいい!
盛大な拍手・ブラボー、そしてブーイングも大きい。ブーイングは演出家が登場した際に発せられ、このシリーズの指環の演出があまりにも極解されたものなので反発するワグネリアンも多い(←でも聴きには来る! 私も、最後の場面の遠くでヴォータンの首吊りの演出はどうかな?と思いました。)。
ニーベルングの指環は5列目での鑑賞だったので非常に良く見え、目の前で歌う歌手の歌もオケの音も音響もとても素晴らしい!
祝祭劇場の舞台・カーテンコール「ニーベルングの指環」

ニーベルングの指環の最後のカーテンコール。
演出家も揃って並び(左側)、指環の象徴(?)の少年もなかなか良かったし、指環の指揮は、シモーネ・ヤング(右から2人目の女性)で、大変素晴らしい演奏を聴かせてくれました!いい演奏でした!
なぜか演出家にだけは酷いブーイングですが出来栄えは最高で、私は対抗して何度もブラボーと叫びました!ブーを出す彼らはブーイングすることが趣味なんでしょう…
ニーベルングの指環・指揮シモーネ・ヤング

ヤングは女流指揮者として初めてバイロイトの「指環」を振りました。さすがに、ブルックナーやワーグナーを得意とするヤングらしいいい演奏でした!会場全体、シモーネ・ヤングには大絶賛でした!
今回鑑賞のチケットたち
8公演5作品のオンラインチケット。今回セカンダリーマーケットからブローカー経由の取得で結構高価な買物でしたが、3月に依頼して1ヶ月ほどで良い席を確保してくれました!普通は1年前の9月に販売され(Website)、あっという間に完売となり、しかも抽選方式で数年待ちもザラとか。
でも今回は、着実に席を頑張って確保してくれ懇切丁寧で、プルミエもボックス席もあり〜!最前列から最後列・ボックス席まで、全部の場所での音響を楽しめました♪そして公演当日のホテル確保も込み。あとは自分で航空券・列車の乗車券を確保するだけ。
【今回の演目】
7/25トリスタン初日(プルミエ)…平土間13列目
26タンホイザー…ボックス席2列目
27パルジファル…ボックス席2列目
指環:28ラインの黄金…平土間5列目(4つ同席)
29ワルキューレ
31ジークフリート
8/1オランダ人…平土間1列目最前列!
8/2指環:神々の黄昏
※今回は「学習会・音楽アカデミー」さん(Röhm-Classicsさん)よりチケット&ホテルを調達していただきました。
公演の休憩中

幕間は1時間の休憩です。演者にはたっぷり休息して貰わないといけない。時折、歌手の練習の歌声が聴こえる…
長丁場だし観客は時間があるので、ワイン・ビール・スパークリング・水・アイスクリーム、そしてホットドッグなどをいただきお喋りしながら過ごす。高級なレストランでお食事をされる方々もおられます。劇場内は暑いので換気をするし、ほとんどの観客は外へ出ます。VIPや有名人もたくさん集まるこの祝祭、ドレスやタキシードで着飾った紳士淑女の優雅な雰囲気です。
ここのホットドッグは結構美味い。水もBeerも同じくらいの値段です。ちなみに、ほぼ皆さんスマホやカードでキャッシュレス決済が多かったです。
休憩時間にスパークリング

私も格好つけて、スパークリングワインでポーズです。水も一緒に飲みます(€5ほどする!高い!)ヨーロッパ人からはチンケな東洋人で多分浮いて見えてるんだろうが…。同じ日本人のお友達もできまして写真を撮り合いました。助かりました。
背景のスタッフは、大部分がバイロイト大学生らしい。品があり親切です。
美味しいホットドッグとBeer

16時開演で終演が21時とか22時になり、途中でお腹が空くので、美味しいソーセージのホットドッグとBeerをいただきます!その場で焼いて作ってて出来立てだから旨い!紳士淑女も何かしら飲み食いしている。アイスクリームもある!気品があって何か可愛い。
ちなみに、3幕開始の21時頃がこちらの日没時間です。空がまだ明るい。
祝祭劇場のバルコニーから望む

祝祭劇場のファンファーレをやる2階のバルコニーから望む眺望で、遠くにバイロイト市街が見えます。逆に鉄道のバイロイト駅からもココ祝祭劇場が見えます。劇場敷地内に目をやると素敵な女性のドレス姿が楽しめま〜す!思い思いにお喋りして社交の場です。何かゆったりと時間が過ぎ、優雅なひと時です!気温は、日本より10℃ほど低く湿気もないので過ごしやすいです。
※さすがに初日は正装の人ばかりでしたが、日数が経つにつれラフな格好の人もチラホラ。と言ってもジャケットかネクタイはしている。
しかし、Tシャツ姿の日本人(?)がいたのには幻滅します。